LOVERS♥HOLICK~年下ワンコと恋をして
「わ、凄い、こんなにゼロが並んでる!

 一十万百千万……一億十億ええええ!!!!」


「驚くことないでしょう?

 そのくらいのお金は会社で扱ってるくせに。」


「使ってないわよ。単価何百円の一日の売り上げなんて、百万もないわよ。

 年間売上なんて数字の上だけだもの。」


「こんな数字の小切手なんて、手にしたことないわ。」


「俺の値段て事だね。」


「ひゃあ、おぼっちゃま~」


「……柊。」


「ご、ごめん、コーヒー入れてくるね。」


柊が預かって来た封筒には、

大量のゼロが付いた小切手と、

メモが入っていた。


気分のいいものではない。


母方のばあちゃんが亡くなってからは、

嫌いだけど、

父方の家族が肉親。


その父に、金を渡され、この年になって捨てられる。


そして渡されたメモにあるドイツのアドレス。


何かあったら母親を探せというのだろう。


アドレスのメモをぼんやり眺める僕を柊は黙って見つめ、

目の前にコーヒーを置いた。


「彗。私やっぱり失敗だったね。」


「うん?」


「神宮零斗に会うことで頭がいっぱいになって、

 彗の気持ちを考えてなかった。


 あの人にも言われたわ。


 私はいいように利用されただけだって

 ごめんね。」


「あの人?」


「神宮さんの付き人。


 たしか境田って言ってた。」


「境田……」


嫌な思い出が頭をよぎった。


境田は親父の妹の姓。


そして柊が会った男は多分……アイツだ……















< 181 / 272 >

この作品をシェア

pagetop