LOVERS♥HOLICK~年下ワンコと恋をして
彼女がおすすめのカウンターバーは

線路の高架下を利用した小さな店、

電車が通るたびに店全体が

小地震のように揺れる


「何に乾杯?」


「そうですね、くだらない合コンから逃れられたことにかな?」


「言うわね?

 あなたぐらいの年の子はああいうの好きなんじゃないの?」


「そういうあなたも女子大生でしょ5歳もサバ読んだお姉さん?」


「性格ワルーイ。

 でも、良かった、あのままあの場所にいるには流石にね~」


彼女は細長いタンブラーに作られた琥珀色のカクテルを

美味しそうに飲み干すと。


「じゃあ、私はこれで。」

そう言ってちょうど2杯分の料金をテーブルに置いて立ち上がった。


え?

この女本当に一杯おごって帰る気?

「ちょっと、帰るの?」

慌てて尋ねる僕に、

「お姉さんは明日も仕事なの。

 子供の相手はここまでよ、ごめんね。

 お休み。」

俺の頭をサラリと撫ぜ、

ウィンクをする彼女に返す言葉が見つからなかった。

唖然とする僕を残し

潔いい彼女の背中は夜の街に消えて行った。


なんで追いかけなかったのか、

後悔は暫くの間、僕を占めることになった。


















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