LOVERS♥HOLICK~年下ワンコと恋をして

「僕の精一杯です。」

この間、くれたカップルリングをすっと外して、代わりに通されたリングは、

光る石がキラキラと自己主張する。

「彗……」


「幸せにします。」


「うん。私も、幸せにする。」


彗はバラごと私を抱きしめた。


子犬みたいに体を震わせている。

泣いてる?


ふぅっ

大きく息を吸うと私を解放して

涙をギュッと拭って、照れ笑い。


「もう離しません。」


精一杯背伸びして、愛を伝えてくれた彼を

心から愛しいと思った。

「私も、離したくない。

 愛してる。」


私たちの恋がほんとうに寄り添ったのは、もしかしたらたった今なのかもしれない。


再び抱き締められた私が解放されたのは、

気が遠くなるくらい経ったあと。

100本近くあったバラは二人の間に潰されて散って

足元を赤く染めていた。



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