LOVERS♥HOLICK~年下ワンコと恋をして
「お願い。家に帰してください。
待ってる人がいるんです。」
彼女は眉間にしわを寄せてすがるような表情で
首を振る。
「私のお願いは聞いてくださらないのですか?」
「だから無意味です。
そんなことしたって陽向の心は手に入らないわ
私もできなかったけど、直接言えばいいのよ、
ちゃんと自分を見て欲しいって。
それが言えなかったたから、私たちはすれ違ったし別れたの。
運命とかで言うなら、私と陽向は運命ではなかったのよ。
あなたは婚約までしたのでしょ。
ならずっと、運命に近いはず。
私のことなんて気にせず、
ちゃんと思いを口にするべきじゃないんですか?」
「運命に近い?」
「ええ。」
「そう?
そうなのかしら。
あなたがそういうなら……
分かりました。
私頑張って気持ちを掴んでみせます。」
ふわっと甘い香りが私を覆う
躊躇なしに抱きついてきた彼女は、
嬉しそうに微笑んでいた。
なんて素直な可愛い人。
自分の気持ちが言えなかった私に比べたら、
きっとこの人みたいな人が陽向にお似合いなんだと思う。
陽向にはやっぱり幸せになって欲しい。