ねえ、君にもし、もう一度会えたなら。



「………。ねー…、紗羽ちゃん。酒もいいけどさ。…デザート、頼んでいい?」



「……ん?」



「…バニラアイス。」



「……………。」




「紗羽も、一緒に食べる?」




「………………!」




「……。顔……、真っ赤。」





「………。……うるさいな。」
















記憶の中の君が…笑う。






あの時より少しだけ上の目の高さ……。



だけど……



変わらぬ笑顔が……




ここにある。




10年という月日を越えて。



ゆっくりと…


重なっていく。











「……アイス…うまっ…。」



早瀬はさも嬉しそうに…それをもうひと口、口に入れた。





「…………。ホント、好きだよねぇ…。」



こういう顔…、見てて飽きない。






「……。……何が?」




「…何って…、『アイス』が。以外に何かある?」




「………あるよ。」



でも、


あの時とは……



確実に、何かが違う。









「紗羽ちゃんも。」



早瀬が、口にスプーンをあててくるから……


つられて私も、ひと口…食べた。




「……美味しい。」



「棒読み。」



「本当だもん!」



「……。ふーん、好きなんだ?」



「……何が?」



「『アイス』が。以外に何かある?」







「……あるよ。」









多分………、



いや、



間違いなく………。






確かな『恋』が…


ここにあるってこと。











私達は、お互いを指さして……、

ぽつりとつぶやく。







  「「好き。」」












    





 ~ 前篇END ~










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