白いパーカーと黒いパーカー
白いパーカーと黒いパーカー
私の家の周りは都会ながらも、夜になると星がよく見えた。
私の家はいつだって人がいない。
帰りを迎えてくれる人も。
遅い帰宅を怒る人も。
ともに食事をする人も。
そんなことはもうなれていた。
むしろどうでもよかった。
今日みたいに雲一つなく晴れていて、乾燥した空気が流れる日は私のお気に入りの日。
こんな日は星がよく見える。
ベランダからでも十分だけど、どうせなら広い空を見たくて外に飛び出した。
私の背後で振り子時計が真上に針をそろえて鐘を鳴らした。
「この時間になっても帰ってこないのが悪いよ」
少し冷たい風が頬をかすめた。
私は一度身震いをして黒いパーカーのチャックをあげた。
ポケットに入れっぱなしだったiPodのイヤホンを耳に差し込み、音楽を再生する。
都会とはいえど、夜は不審者が多い。
声をかけられても無視ができるように、見つかりにくいようにと服装は前々から同じ物。
真っ黒な服で、私は夜に溶けていきたかった。
私の家はいつだって人がいない。
帰りを迎えてくれる人も。
遅い帰宅を怒る人も。
ともに食事をする人も。
そんなことはもうなれていた。
むしろどうでもよかった。
今日みたいに雲一つなく晴れていて、乾燥した空気が流れる日は私のお気に入りの日。
こんな日は星がよく見える。
ベランダからでも十分だけど、どうせなら広い空を見たくて外に飛び出した。
私の背後で振り子時計が真上に針をそろえて鐘を鳴らした。
「この時間になっても帰ってこないのが悪いよ」
少し冷たい風が頬をかすめた。
私は一度身震いをして黒いパーカーのチャックをあげた。
ポケットに入れっぱなしだったiPodのイヤホンを耳に差し込み、音楽を再生する。
都会とはいえど、夜は不審者が多い。
声をかけられても無視ができるように、見つかりにくいようにと服装は前々から同じ物。
真っ黒な服で、私は夜に溶けていきたかった。