白いパーカーと黒いパーカー
しばらくすると、いつもの場所が見えてくる。

人気の少ない土手の一角。

階段脇にある小さなスペースは、私がいつも腰掛けて星を見る場所だ。

そこには本当に外灯は少なく、私のような黒い服を着ている人間を見つけるのは難しい。

だけど、そんな場所で簡単に見つけられる色がいた。

私のお気に入りの場所に腰掛けたそれは、のんきに足を揺らしていた。

それは白いパーカーを着た小柄で華奢な体の人間だった。

こんな時間にそんな服を着ていたら目立ってしまう。

嫌でもその色は私の目につきささった。

それの後ろでたち呆けていると、それがゆっくりとこちらを振り向いた。

「おいでよ。」

それは私と同い年くらいの男の子だった。

彼は自分の隣をぽんぽんと叩く。

私は聞こえないフリをする。

「本当は“それ”聞こえてるんでしょ?」

彼はにこっと笑った。

そして私の手をつかむと無理矢理隣に座らせた。



< 2 / 5 >

この作品をシェア

pagetop