白いパーカーと黒いパーカー
私の手は宙をかいた。

変わりに白いパーカーのフードが私の手に掛かった。

そしてそのパーカーの中を銀色の何かが流れ落ちた。

チャリンと音がして、コンクリートの上に何かが落ちた。

それはシルバーのブレスレットだった。

小さな星が飾りに一つついているだけのシンプルな物だった。

私がブレスレットを拾い上げると辺りがよりいっそう暗くなった。

空を見上げると、さっきまで快晴だった空がどんよりと雲に覆われていた。

これじゃあ星なんて見えない。

私はあきらめて帰ることにした。

立ち上がると、どうしても目に付く白いパーカー。

私はなぜかそれを置いていきたくなかった。

ブレスレットとまとめて左手で抱えて家に向かう。

すると丁度母さんが家の扉を開くところだった。

「…おかえり。」

少し目を伏せて母さんに声をかける。

「あら、今帰っ…!!」

母さんは私を見るなり驚いた顔をした。

そして白いパーカーを取り上げてさらに驚いた顔をする。

「これっ…どこで…!?」

私はさっきのことを母さんにはなした。

話し終えると母さんは少し泣いていた。



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