【BL】初恋いただきます。
目が覚めたのは真夜中。
要さんのベッドを占領してしまったらしい。
隣に要さんの姿はなかった。
のろのろとベッドを抜けてリビングへと向かう。
ソファーに座る要さんの背中が見えた。
少し近づいて躊躇いがちに声を掛ける。
要さんは首だけ振り返って、起きたのか、と呟いた。
俺は要さんの隣に腰を下ろす。
「随分早い目覚めだったな。」
「え、そう?いつ寝たかも覚えてないけど……それより、」
「?」
「要さん、……大丈夫?」
窺うように見れば、要さんは天井を仰いでいた。
今、この人は何を考えているのだろうか。
考えてみれば、俺は…
要さんのことを何も知らないんだ。
少し悲しくなった。
「俺さ、要さんの事もっと知りたい。」
「…………。」
「だってずるいよ。要さんは俺のこと知ってるのに。」
要さんが天井から俺へと視線を移す。