【BL】初恋いただきます。
食事のあとは名所巡り。
「うーん…時計台って思ってたのと少し違う。」
「そうか?俺は想像通りで満足だがな。」
微笑ましく、要さんは写真を撮る。
「次の写真集に使えそうだ。」
「要さん、また写真集出すの?」
「まぁな。」
「そっか!次もまた買うね!」
意気込む俺に要さんは苦笑する。
「わざわざ買わなくても、いつでも見せてやるのに。」
「ダメだよ。ちゃんと買う。」
これは俺のこだわり。
「だって俺、要さんのファンだもん。」
胸を張って言いきった俺を、要さんは瞠目し、それから嬉しそうに笑った。
「そこは“要さん大好き”って言われた方が、グッと来るな。」
「……作品の話だし。」
「分かってるよ。ありがとう。」
笑いながら要さんは俺の頭に手を乗せる。
大きくて、暖かくて、くすぐったい。
すごく幸せだ。
――パシャッとなるシャッター音。
要さんを見れば俺に向けて構えられているカメラ。
「ちょ、撮らないでよ!」
「幸せそうな顔をしてたから、つい。」
「だ、だめ!消してよ!」
「安心しなさい。俺の観賞用だ。誰にも見せたりしないさ。」
「当たり前だろ!てか、そういう事じゃなくて!」
何とかカメラを奪おうとする俺を、よしよしと頭を撫で要さんは宥める。
「さて、次はどこに行く?」
「誤魔化さないでよ!」
「細かいことは気にするな。」
要さんは俺の言うことなど無視して、手を引いて歩いていく。
「要さん!手離して!」
「だめだ。あんな顔するお前が悪い。それにこうでないとデートじゃないだろ?」
俺が手を離そうとすればするほど、強く強く握られる。
「諦めろ。下手に暴れると逆に目立つぞ?」
その言葉で、俺は抵抗をやめた。
「いい子だな、涼」
「……卑怯だ。そして我儘。」
「何とでも。」
すっかり上機嫌な要さんが、結局ホテルに帰るまで手を離してくれなかったことは言うまでもない。