魅惑の果実
桐生さんも車に乗り込んだ。



「今日はありがと。 おやすみなさい」



本当はまだ一緒にいたい。


でも、素直に言えなかった。


これ以上子供だと思われたら、ますます彼女への道のりが長くなる。


ただの遊びっていう線の方が濃厚だけど……。



「早く乗れ」

「え?」

「送っていく」

「い、いい!! 大丈夫!! タクシーつかまえて帰るから!!」



一緒にいたいけど、それは困る。


寮に帰るんだし、高校生ってバレちゃう。


近くまで送ってもらえば大丈夫だとは思うけど、念の為あの辺にいることはばれたくない。



「いいから早く乗れ」

「うわっ、ちょっと!!」



腕を引かれ、無理矢理車に乗せられドアを蓮見さんに閉められてしまった。


逃げようと思えば逃げられた。


でも出来なかった。


桐生さんの腕がお腹に回っていたから。


離れたくなかった。


車が動きだしハッとする。


ちょっと!!


まずいって!!


でも今更止めてくれなさそうだし……しょうがない、近くで止めてもらおう。





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