魅惑の果実
とりあえず美羽の友達を帰した。


明日香と美羽の三人で居るのは不思議な感じがする。



「あんた何してんの?」

「モデルやってる友達に誘われて……それで、えと……」

「のこのことあんなとこに連れ込まれて、やられても文句言えないんだからね!?」

「っ……」



目に涙をためる美羽を見て余計イラついた。


どう接していいか分からない。



「泣かないでよ、マジで」



下唇を噛んで泣くのを堪えている美羽。


これはこれでムカつく。


我ながら最低な姉だと思う。



「まぁ、まぁ、そう怖い顔してちゃ可哀想だよ。 名前なんて言うの?」

「み、う……です……っ」



口を開くと同時に美羽の目から涙が零れ落ちる。


泣くなって言われると泣いちゃうよね……。


分かってんだけど、つい強く言っちゃう。



「美羽ちゃんと美月は中学の時か何かの友達?」

「妹」

「え!? 妹!? 初耳!!」



喋れなくなっている美羽の代わりに答えた。


今まで明日香に妹の話をしたことはない。


話す内容もなかったし、知って欲しくもなかったから。





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