魅惑の果実
美香ちゃんのマンションに着くと、ドッと疲れが出た。


ソファーに深く腰掛けると、自然と漏れるため息。


この短時間で色々あり過ぎでしょ。



「遠慮なくくつろいでねぇ」

「あ、はい」



遠慮がちにソファーにちょこんと座る美羽。


こんな顔だったっけ?


寮に入って美羽とは殆ど顔を合わせてない。


こんなにマジマジと見たのは子供の時以来かもしれない。



「ってか、最後のあのイケメン誰!?」



ドカッとソファーに座った明日香が身を乗り出す。


そういえばスッカリ忘れてた。


まだ面倒ごとが残ってた……。



「声かけられて、暇だったから取り敢えず話してた。 翔がいなかったらVIPに入れなかったかも」

「VIPのカード持ってたの!?」

「お偉いさんの子供みたいだったよ。 ってか入れてもらった代わりに、今度会わなきゃいけないんだけど……マジで面倒臭い」

「えぇ!? 私も会いたい!!」

「じゃあ友達連れてきてもらって四人で会う? その方が私も助かるし」

「いいの!? やったぁ〜!!」



デートとは言ってたけど、二人きりでとは言われなかったしね。


それで終わりにしよう。





< 155 / 423 >

この作品をシェア

pagetop