魅惑の果実
気に入らないキャストが同じ席につくと平気でシカトしたり、嫌がらせしたりする。


仕事なんだからって思うけど、こればっかりは口でいったところでどうにもならないと思う。


それどころかみんな気が強いし、大げんかになって、悲惨な結果で終わりそう。


幸いにも私はまだ嫌がらせを受けたことがない。


たいしてやる気がないのもみんな知ってるからだろうし、目立つような事はしないから。


でも桐生さんの事が咲さんに暴露たら終わりだろう。


どんな嫌がらせを受けるか分からない。


想像しただけでゾッとする。



「莉乃」

「はい」



店に客が入ってきて、店長に名前を呼ばれた。


もう少し待機してたかったけど、しょうがないか。


私は案内された席に座り、いつもの様に笑顔を浮かべた。


笑過ぎて仕事が終わる頃にはいつも頬っぺたが痛い。


それはきっと無理に笑顔を作ってるからだよね。


でも飲むか笑うかしてないとやってらんない。


水商売って世間一般にはまだ快く思われてないけど、商売してるこっちだって客の事を快くは思ってない。


良いお客さんなんて本の一握り。


大抵は気持ち悪くて吐き気がする。


今ついてるこの席だってそう。


ベタベタベタベタと人の太ももを触る気色悪い輩め。





< 170 / 423 >

この作品をシェア

pagetop