魅惑の果実
授業中、頻繁に鳴る携帯。


ノイローゼになりそうだけど、仕事柄しょうがないって諦めてる。


だって殆どが客からの電話とメールだから。


そんな事する暇があるなら真面目に仕事しろっつーの!!


仕事を始めてからは、男に対して幻滅する事がわんさかある。


どんなに真面目そうで誠実そうで、お硬い仕事をしている人でも、お酒が入ると女とあらば見境ない人ばっかり。


しょせんは色恋の世界でしかないんだよね。



「みぃ〜つき! 帰ろうっ!!」

「うん」



私も明日香も部活は何もしていないから、授業が終われば真っ直ぐ帰っている。


帰るといっても寮生活をしているから、十分もあれば帰り着く。



「今日は早く終わるといいね」

「そうだね。 今日は怠いしアフター誘われても断ろうかな」

「そうしなよ。 美月は寮長から早寝早起きだと思われてんだから、クマできてちゃマズイでしょ」



夜十時に部屋にいるかの点呼を寮長が取りにくる。


勿論私はその時間はキャバクラにいるわけで、返事なんてできない。


だから同室の明日香が一人で点呼を受けている。


私はと言うと、いつも九時に寝ていることになっていて、ベッドもそれらしく見える様に細工しているから、まだ寮長に居ないことは暴露ていない。





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