魅惑の果実
次の日の朝、心配そうな顔をした明日香に見送られ、私は婦人科に向かった。


学校が終わってからでも行けたけど、早い方がいいと思った。


もし本当にお腹に命があるなら、待ってはもらえないから……。


検査が終わって、女医さんと向かい合って座っている。


膝の上で握る手に汗が滲む。


こんなに緊張したのは初めてかもしれない。



「妊娠6週目ですね」

「…………」



やっぱり、検査薬は間違ってなかった。


頭がクラクラする。


どうしよう……どうしたらいいんだろう。



「産みますか?」

「…………」



口を開いても、上手く言葉が出てこない。


何度も先生の言葉が頭の中で木霊する。


私が赤ちゃんを産むの?


産めるの?


桐生さんは受け入れてくれる?


信じてる筈なのに、今は何でだか不安の方が大きい。



「もしも中絶されるのであれば、早いに越したことはありません。 まだ未成年ですし、一度お家に帰ってご家族の方とお話をなさって下さい」

「……は、い」



病院を出て、エコー写真をもう一度眺めた。


我慢してた涙はもう止まらなかった。





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