魅惑の果実
その日の夜、ご飯を作っていたらインターホンが鳴った。



「帝、誰か見てくれる?」

「はぁい」



帝はソファーからピョンっと飛び降りると、テレビモニターのところへ走って行った。


そしてモニターを見た途端、迷わず受話器を耳に当てた。



「みゅ〜! うん、うん、はぁい!!」



受話器を置くと、帝が走って飛びついて来た。



「みゅ〜だったぁ」

「ん、美羽だけ?」

「せいもぉ〜!!」



今度は玄関のインターホンが鳴り、帝は素早く反応。


急いで後を追いかけた。



「帝! ちょっと待って!! まだ開けちゃダメだからね!!」



帝を後ろから捕まえて抱き上げた。


こんなにおっきかったっけ?



「みゅ〜とせいだよ!」



覗き穴から外を覗きながら叫ぶ帝。


多分外の二人にも聞こえてるだろう。


ドアを開けると、久しぶりに会う二人の姿。



「急に来てごめんね」

「ううん、大丈夫だよ。 どうしたの?」

「本当は連絡入れて行こうと思ってたんだけど、今日急に二人で会う時間が取れたから寄ったんだ。 それより帝、お前でっかくなったな」

「あははっ! なったぁ〜!!」



美羽と誠治、この二人が今でも上手くいっている様で安心した。





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