魅惑の果実
告られた事はあったけど、本当にそれだけで、付き合ったりはしていない。


_ブーブー……。


またケータイが鳴り、ケータイを見た。



「はぁ……」

「でっかいため息。 メール?」

「あ、うん」



今まさに噂の真っ只中にいる翔からだ。


帝の事を知ってからやたらとメールを送ってくる。


撮影で何処かに行く度、帝へのお土産は何がいいかとメールをくれる。


どうやら今はハワイにいるようだ。


後でメールを返そうと思ったら電話がかかってきた。



「もしもし」

「メール見た?」

「見たよ。 てか仕事で行ってるんでしょ? そんなに気使わなくていいって」

「気なんてつかってないよ! 俺が帝の喜ぶ顔が見たいだけ」



実際のところ翔と帝は従兄弟になるんだもんね。


だから可愛く思ってくれてるのかもしれない。



「じゃあ、いい香りの入浴剤」

「そんなんでいいの!?」

「いいの、いいの。 もう昼休み終わるから切るよ。 じゃ、またね」



電話を切ってついため息が漏れた。






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