魅惑の果実
話し終えると、明日香に顔をマジマジ見られた。


な、何……?



「それで良かったの?」



良かったか悪かったかなんて、そんなの自分でも分かんない。


気付いたら返事してたんだもん……。



「もうオッケーしちゃったんだから、しょうがないじゃん」

「だって桐生様は小西さんのこと良く思ってないわけでしょ? 小西さんと付き合ってるなんて知ったら、ヘルプでも呼んでもらえなくなるかもよ?」

「そうかもしれないけど……」



けど、桐生さんは私の事なんて何とも思ってないんだし、何とも思わないと思うんだよね。


小西さんとはプライベート、もしくはビジネスとかでトラブルか何かがあって、良く思ってないのかもしれない。


ただの憶測に過ぎないけど。



「バレないようにするからいいの!!」

「何!? びっくりした……」



ちょうどドアを開けた美香ちゃんは驚いた顔をしていた。



「お姉ちゃんおっ帰りぃ〜」

「ただいま。 この様子だと、二人とも勉強全然進んでないんじゃないの?」

「あはは……」



明日香と顔を見合わせ苦笑い。


今日は明日香の家で美香ちゃんが勉強を見てくれている。


美香ちゃんに急用が入ってしまい、いない間に少しでも夏休みの課題を進めておけって言われてたんだけど……一問も進んでいない。





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