君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「何を言ってるんですか!?現に副社長、そんなにふらふらじゃないですか!そんな身体で出席されても喜ばれませんよ!」

第一秘書として、こんな身体で仕事させるわけにはいかないわ。

「車の手配をしてきますので、腕を離して頂けませんか?」

「やだね。...さっきも言っただろ?絶対に出るから」

また副社長ってば...!


「ですがっ...!」

「これだけはいくら櫻田さんでも譲れないよ!?...会社のトップとして、風邪くらいで大切な記念日を欠席するわけにはいかないだろ?」

「副社長...」

分かってる。
副社長はなに考えているのか分からない人だけど、誰よりも会社のために働いている人だって。
抜けているようで、しっかりしていて。頭の回転が早い人だし、人をまとめる才能もある。...そして何より、社交的で、情を大切にする人。
相手の好きな食べ物や趣味は全て把握していて。...いつも喜ばせては、副社長も嬉しそうで。
今日のオープニングセレモニーだって、プライベートでも親交のあるグループの社長さんだし、副社長の気持ちも分かる。
...だけど、私は秘書としての仕事をしないと。
本当だったら誰よりも副社長の健康管理に気遣わなくてはいけなかったのに...。
それなのに、これ以上副社長に無理はさせられないわよ。

「...あのさ、櫻田さんは俺の秘書なんだよね?」

「えっ?」

か弱い声。
うまく聞き取れなくて、もう一度膝をつき副社長を見つめる。
相変わらず苦しそうで顔が赤い。
< 123 / 368 >

この作品をシェア

pagetop