君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「...俺の秘書なら分かってくれるだろ?大丈夫。夕方までこうやって寝ていれば楽になるから...」

そう言うと副社長は私の腕を離してくれて、目を瞑る。

あぁ、もうだめだ。
きっと副社長はこれ以上なに言っても私の言うことなんて聞いてくれない。
ならー...。

「櫻田さんは休憩に入って。それと悪いんだけど、新しいワイシャツ買ってきてもらってもいいかな?それとー.....」

「副社長、病院へ行きましょう」

「えっ...」

こうなったら仕方ないわ。

「私、すぐに車の手配をしてきますので、副社長も行く準備をしてて下さい」

そう伝えながらドアの方へと向かっていると後ろから聞こえてくる副社長の声。

「さっきの話聞いてなかった!?俺は帰らないって!」

「そんなの分かってます!」

ドアの前で立ち止まり、興奮気味にソファーから起き上がり私を見る副社長を見つめる。

「副社長が言い出したら聞かないということくらい、ちゃんと分かっています。夕方まで時間があるんでしたら、病院で点滴うってもらいましょう。それで少し休めば熱も今よりは下がると思いますので」

「櫻田さん...」

こんなことするなんて、秘書失格なのかもしれない。

「その代わり、明日はちゃんと一日休んで下さいね?」

でも副社長の仕事に対する姿勢は、好きなんだよね。
だから秘書として、今できるだけのサポートをしてあげたい。

「...ありがとう」

そう言うとまた副社長は力なくソファーに横たわる。

大丈夫、だよね?
私の判断は間違ってないわよね?

ううん、ダメ。私が迷ってる場合じゃないわ。

「車手配してきます」

これがベスト!
そう信じるしかないわよ。
あんな副社長を見てしまったら、尚更に。

急いで副社長室を出て、自分のデスクへと向かった。
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