君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
ついさっきそんな冗談を言っていたかと思うと、もう仕事モードに入っていて手帳を開いて何やら考えている様子。

「櫻田さんはおとなしくしててくれればいいからね?」

「えっ、どういう意味ですか?」

副社長は手帳を閉めて、にこにこ笑顔で私を見つめてくる。

「三田社長みたいな件だけは起こさないようにね?」

「...はい」

懐かしい醜態。
できれば忘れたい過去の一つだわ。

「まぁ...櫻田さんらしくて、俺はいいと思うけどね。でも今日だけはそんなパフォーマンスは勘弁だよ?俺、守ってあげられないから」

「は...い」

本当、なんだろう。
今日の副社長はいつもの副社長なんだけど、いちいち私の心をかき乱す。
いつも言っているような言葉なの。なのに、表情が違くて戸惑ってしまう。
熱のせい?だから?

...ううん、きっとそうだよね...?


ーーーーーーー

ーーー

「...うわぁ。これはまた豪華な造りですね」

「でしょ?外観から内装までかなりこだわったからね。デザイナー達を泣かせながらだけどね。俺の中で一番の自信作だよ」

会場に到着すると、つい視線を奪われてしまう外観。イルミネーションにもこだわっていて立ち止まり見てしまうほど。
内装はそれよりさらに目を奪われてしまう造りだった。
小さなインテリアにまでこだわっているのが分かる。

「...素敵なホテルだろ?」

「はい!」

そう答えると副社長は嬉しそうに笑う。

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