君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「あー…もう。本当に困るなぁ、櫻田さんには」

「えっ?」

どういう意味?

意味が分からずただじっと副社長を見つめる。

すると副社長はなぜか両腕で自分の顔を隠した。そして

「…じゃあさ、俺が眠るまでそばにいてくれない?」

そばにって…えっ!?

副社長の言葉に嫌でも反応してしまう心臓。

「…不安なんだ。誰もいないかと思うと。…だからせめて俺が眠るまででいいから、こうやって近くにいてくれないか?…そばにいてくれるだけで安心できるから…」

もうやだ。
本当にやめてほしい。
こんなにも私の胸をかき乱すのは。

…第一そんなこと言われてしまったら私の答えなんて一つしかないじゃない。

「…分かりました」

小さな声だったというのに、副社長の耳にはしっかり届いていて。
顔を隠していた腕は下ろされ、見えたのは安心したように笑う副社長の顔。

「…ありがとう」

そう呟くと瞼を閉じる。

そのまま私は力が抜けたようにそのまま床に座りこんでしまった。

そしてゆっくりと手を胸に当てる。すると感じるのはいつもより早い鼓動。

なによ…副社長も言っていたじゃない。不安だからって。

そうよ。そんな言葉言われ慣れていないからよ。

だって私がこんなにもドキドキしてしまう相手は圭吾さんただ一人なんだから。

副社長を見ると、眠っている様子。

慌てて立ち上がり、そっと布団を掛ける。

「…誰も家にいないのよね」

そのまま寝室を出て悪いと思いつつも冷蔵庫の中を開ける。
中は見事に何も入ってなくて。だけど大量の冷えピタと栄養ドリンクが入っていた。

「よかった…」

冷えピタを取り、また寝室に戻り、副社長の額にそっと貼る。

貼った瞬間声が漏れたが、また規則正しい寝息が聞こえてきた。

キッチンへ戻り探していると、どうにかお米と塩や醤油が置いてあった。

「おかゆ作れそうね」

なにも食べずに薬を飲むのはまずいものね。

そう思い作ろうと腕時計を外そうとしたとき、時間が目に入る。



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