君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「寂しがり屋…だからですか?」

膝元からは規則正しい寝息が聞こえてきていて、返ってこないと分かっていても聞かずにはいられなかった。

なにか理由がないと辛い。
だって今、私の胸はこんなにも高鳴っているんだから…。
いつものにこにこ笑顔で「冗談だよ」とか「弱っていたから」とか。なんでもいいから理由がほしかった。

「…治ったら、聞かせて下さい、ね?」

私の声は車のエンジン音によってかき消され、そのまま副社長の自宅へと向かった。

ーーーーーー

ーーー

「すみません、ありがとうございました」

副社長の住むマンションへとたどり着き、手伝ってくれた運転手を見送る。

「さて…」

「おじゃまします」と小さく呟きながら、もう一度部屋の中へと上がる。

そして副社長の眠る寝室へと入る。
相変わらず副社長は辛そうに横たわっていて。とてもじゃないけど、このまま帰れる雰囲気ではない。

「あの…副社長」

そっと呟き、副社長の元へと近づく。

「…あれ?櫻田さんまだいたの…?」

そう言うと副社長は起き上がろうとしたから、思わず駆け寄りそれを停止させる。

「副社長、寝てて下さい。…あの、大丈夫ですか?」

いくら薬をもらっているとはいえ、この家には誰もいない。

「あはは。なに?心配してくれているの?」

「そんなの当たり前じゃないですか!」

そう言うと副社長は一瞬驚いた表情を見せたかと思えば、なぜか急に笑い出した。

「…副社長?」
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