君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「あれ…もしかして東野か?」

呼ぶ声に振り返ると、そこにいたのは藤原だった。

「やっぱりそうだ!なに?いつ帰ってきたんだよ」

俺の姿を見つけると、嬉しそうに駆け寄ってくる。

「いや、ついさっき...」

「なんだよ、帰ってくるなら連絡しろよな。積もる話もあるんだからよ」

そう言うと俺の背中をバシバシ叩いてくる。

「色々聞きてぇじゃん?プロポーズの名場面をさ」

「...そうくると思ったから連絡しなかったんだよ」

こんな風にからかわれるのを予想してな。

悪いがそんな恥ずかしい話、話すわけねぇだろ?

藤原を残し、歩き出す。

「なんだよ、いいじゃん聞かせてくれたって」

「話すわけねぇだろ?そんな話」

後をついてくると隣に並んできて、俺の顔を見てくる藤原。

「なー、一杯飲んでいかね?櫻田のことでちょっと気になることがあってさ」

「...菜々子になにかあったのか?」

思わず足が止まる。

「いや、あったっつーか...これから起こりそう?みたいな」

「なんだよ、それ。でたらめじゃないだろうな?」

菜々子の話を餌に付き合わせて、色々と聞き出そうとしているんじゃないのか?
藤原にならあり得る話だ。

「失礼な奴だな。...マジネタだから。取り合えず会社じゃ話せねぇし、行かないか?もう帰るんだろ?俺も終わりだから」

「...分かった」

にわかに信じがたいが、気になるのも確か。言われるまま藤原と会社を出て、近くの個室のある居酒屋へと向かった。
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