君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「…で?なんだよ、菜々子の話は」

「まーまー。まずは乾杯しようぜ?こうやって二人で飲むのなんて久し振りなんだからさ」

藤原は手には既にビールジョッキがあり、俺にも持つよう促してくる。

仕方なくジョッキを持つと「乾杯」とグラスをぶつけてきた。

「あー!やっぱ仕事終わりの一杯は格別だわ!なぁ?」

「…そうだな」

昔となにひとつ変わらない藤原につられて、一気にビールを飲む。

「いやさ、勿論家で飲むのもいいんだけど、やっぱ気遣うじゃん?亜希子は毎日家で家事や光太の面倒みてくれているからさ」

「なんだよ、早速愚痴か?幸せでいっぱいだって言ってたじゃん」

「そりゃそうだけどさ、結婚するって思ってた以上に大変なんだぜ」

そう言うともうおかわりを注文する藤原。

「…不思議だな。藤原と酒飲みながらこんな話するなんて」

高校時代からの付き合いで、お互い気心が知れた仲。だけどまさかこの歳になるまで付き合いがあってこんな話をするなんて、想像できなかった。

「まあな。嫁さん同士も仲良いし。しばらくは長い付き合いになりそうじゃん?……本当、おめでとう」

「…サンキュ」

珍しく茶化さないものだから、柄にもなく照れてしまった。
こうやって友人に結婚を祝ってもらうと、こんな気持ちになるんだな。

「やっぱ今回は櫻田の親に挨拶とかで帰って来たのか?」

「あぁ、それもあるけど…」

藤原にはちゃんと話しておいた方がいいよな。

「実は、異動願を出したんだ」

「えっ。それってもしかして日本に戻るってことか?」

「…戻れたらな。無理だったら会社辞める」



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