君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
だって人の物よ?
神様に誓っちゃってて、法律上もそうなっちゃってるのよ?


エレベーターは目的の階に辿り着いたというのに、私はなかなか降りられずにいた。


いやいや!
待って待って。そもそも中山さんが藤原さんを好きってこと事態私の勘違いかもしれないし...。

...うん、そう思おう。確証もないのにそう決めつけるのは大人としてどうかしてるわ。


「っとと!待って待って!」


いつまで経っても降りない私にしびれを切らしたようにエレベーターのドアが閉まる。

慌てて【開】ボタンを押し、エレベーターを降りた。


「うん、そうだ。勘違い勘違い」


それに今は仕事中。
仕事に集中しなくちゃ。


「すみません副社長遅くなりました」


ドアをノックし副社長室へと入る。


「あっ、ありがとう」


副社長はデスクに座り普通に仕事をしていた。

なっ、なによ。別に私がわざわざ東京バナナを買ってこなくてもお仕事スイッチ入っちゃってるじゃない!

苛々しながらも悟られないよう買ってきた東京バナナをテーブルの上に置く。

...あれ?


「副社長、私が外出中に誰かいらっしゃったんですか?」


「えっ!!なっ、なんで!?」


「なんでって...。テーブルの上に置かれたこの二つのマグカップを見れば誰でも分かりますよ」


少しだけ手のつけられたコーヒー。明らかに誰か来た証拠。


するとなぜか明らかに挙動不審になる副社長。


「いや、まぁ。客っつーかなんつーか...」


「はぁ...」


どうしちゃったんだろう、副社長ってば。


「まっ、まぁ誰でもいいじゃない。さっ!櫻田さんも仕事が山積みなんでしょ?さっさとやっちゃった方がいいよ」


「えっ、わっ!ちょっと副社長!?」


いきなり私の背中をぐいぐいと押し出す副社長。

一体なんなの!?


訳もわからぬままそのまま副社長に部屋から追い出されてしまった。


「なっ、なんなのよ...」


閉められたドアに向かって思わず呟いてしまった。


いつも副社長に対しては理解不能な場面もあったりしたけど、今日も相変わらずだわ。

早く仕事しよ。


時間を無駄にしてしまった。

気持ちを入れ換え、パソコンと向かい合い仕事を再開した。


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「櫻田さーん。もう定時はとっくに過ぎちゃってるよー」


「わっ!?」


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