君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
私と藤原さんなんて、想像さえも出来ないわ。


「じゃ、車回してくるからちょっと待ってろ」


「お願いしまーす」


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「おはようございまーす」


「おはよう」


みんなと挨拶を交わしながら更衣室の奥へと進んでいく。

ロッカーを開けて鞄を置くと、つい出てしまうあくび。


「さすがに寝不足だわ」


昨日、あれから藤原さんの車に乗せてもらい送ってもらってる途中、藤原さんのケータイに橘さんから着信があった。
私を送っていくことを伝えたら、家に連れてこいと。
夜も遅かったし迷ったけど、藤原さんにも言われてお邪魔したものの、話が盛り上がり結局泊まらせてもらった。
そしてちゃっかり会社の近くまで藤原さんに乗せてきてもらってしまった。

着替えも服も橘さんに借りられて良かった。
女子って意外にこういうところは鋭く気付くのよね。


そんなことを思いながらも着替えていると聞こえてきた声。


「櫻田さん、おはようございます」


私に挨拶してきたのは中山さん。
藤原さんの秘書。中山加奈枝だった。
身長は百五十センチ前後。ショートヘアの今どきの可愛らしい女性。

「おっ、おはよう...中山さん」


昨日、エレベーターのところで睨まれたこともありつい身構えてしまう。
だけどそんな私とは違い、にこにこ笑顔の中山さん。
だけど逆にその笑顔が怖いと思ってしまうのは、私だけだろうか。


一つ抜かしてロッカーが隣同士な私達。
隣の人はもうオフィスに行ってしまったようで、自然と中山さんと二人並んで着替えている。
別に何か言われたわけでもないのに、なんで私ってばこんなに変に緊張しているのかしら。

でもやっぱり気まずいのは本当のこと。

さっさと着替えてここを出よう!そう思っていた時、


「櫻田さん...。私、見ちゃったんですよね」


「えっ!?」


突然声を潜めて私にだけしか聞こえないように話し出した中山さん。
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