君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
当然会場中は笑いの渦に包まれる。

「…副社長め」

「圭吾さん…」

かけてあげるべき言葉が見つからない。
だって親や親戚、沢山の友人、そして職場のみんながいる前でそんなこと言われてしまったんだから。

さっきから圭吾さんをからかう言葉ばかり聞こえてくる。

隣では圭吾さんが参ったと言わんばかりに大きな溜息を漏らしているというのに、私は我慢できず笑ってしまった。

「…菜々子、笑いごとじゃないんだけど。仕事やりずらくなるじゃないか」

本気で落ち込む圭吾さん。

「ごめんなさい。でもまさか副社長がここであんなこと言うとは思いませんでしたね」

「全くだよ。…半分は菜々子の責任だけどな」

そう言ってわざと私の鼻を摘む圭吾さん。

「ちょっとやきもち妬きの東野部長!一体なにやってるんですかぁ?」

「…来た」

からかうように私達の席に来たのは懐かしき営業部のみんな。

「本当ですよー!がっかりだなぁ。あの憧れの東野部長が女にやきもちを妬くなんて」

そう言いながら大袈裟に落胆するのはすっかり一人前の営業マンになった小山君。

「東野さん、小山に言われちまったらおしまいですよ?」

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