君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「おい、桜子!そんなんじゃ好かれたくとも、好かれねぇぞ?」

うっ…!翔太の奴、相変わらず痛いところを突いてきやがって!!

「わーってるよ!そんなことっ」

翔太は私のためを思って言ってくれていると分かっているのに、素直になれない私は、いつもこうやって可愛くないことばかり言っちまうんだよな。

そんな自分に嫌気がさし、また一気にビールを流し込む。

「だからそんな飲み方するなって!」

「翔ちゃん、落ち着いて!……今日は桜子の話をとことん聞いてあげよ?」

「そりゃまぁ…そのつもりだけど」

菜々子に言われると翔太はいつもこうだ。
昔から菜々子には、強く言えないんだよな、翔太って。
それがすごく嫌な時期もあったけど。

ビールをちびちびと飲みながらそんなことを考えていると、菜々子が言ってきた。

「桜子はさ、本気で副社長が好きなんでしょ?……だったら苛々しちゃうよね、特にあの人が相手だったら」

なぜか語尾に力を入れる菜々子。

「……そんなに特殊な人なのか?」

そんな菜々子の言葉に、疑いめいた顔をして聞く翔太。
するとさっきまでの菜々子から一変。勢いよく話し出した。

「そりゃもう特殊って一言では言い表せない人よ!?なに考えているか分からないし、突然突拍子もないこと言い出すし!一緒に仕事をするこっちの身にもなって欲しいくらいよ!」

「そっ、そうなのか…」

興奮気味の菜々子に、若干引き気味の翔太。
菜々子には悪ぃけど、私も引き気味……。だけど、そうなのか?仕事中の和也君は見たことないから分からない。
だから、たまに羨ましくて仕方ねぇんだよな。
毎日一緒に仕事が出来る菜々子が。
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