君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「大丈夫ですよ。頑張ってもダメだったら潔く諦めますから」


そう言うと中山さんは私に笑顔を見せる。


ちょうど会社に着いて、前から藤原さんが中山さんを呼ぶ声が聞こえてきた。


「それじゃ私行きます。...お疲れさまです」


「えぇ...。お疲れ様」


一礼すると足早に藤原さんの元へと行ってしまった。


みんな行ってしまったのに、なかなか私の足は前へ進んでくれない。


「なんで人生ってうまくいかないんだろう」


みんながみんな幸せになれればいいのに。だってたった一回の人生。それは誰も平等に与えられた命。
同じなら、みんな幸せになれたらいいのにな。


私は橘さんの友達で、誰よりも幸せになってもらいたいって思っている。
...だけど今回ばかりは私はなにもせず、見守ろう。中山さんには悪いけど二人の絆は絶対に切れることはないと思うし。中山さんも頑張ってもダメだったら潔く諦めるって言っているし。
だから私はいつも通りでいいんだよね?


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ーーーー


それから日々は流れ、仕事に追われる毎日を過ごしていた。

たまに橘さんと電話やメールで話したり、一度だけ会ったけど特に変わった様子は見られなかった。
藤原さんもたまに会社で会うけどいつもと変わらないし。

だからもう大丈夫なんだろうって勝手に思ってた。中山さんも諦めたんだろうって。
そう思っていたんだけど...。
それは完全に私の思い過ごしだった。


いつものように仕事が終わって帰宅し、明日から二連休ってこともあり一人部屋で晩酌をしていた時。
夜遅い時間、突然家中に響き渡るインターホンの音。

驚きのあまり、飲んでいたビールを吹きこぼしてしまった。


「ぶっ!...だっ、誰よ。こんな夜遅くに」


まさか酔っ払った桜子?そういえばこっちに来てからすぐのこと、そんなこともあった。

渋々立ち上がりカメラに写る人物を見る。
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