君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「嘘...どうしたの?」


急いで玄関へ行き、ロックを解除してドアを開ける。
すると聞こえてきた声。


「ちょっと。光太が寝ているんだから静かに開けてちょうだい」


「ごっ、ごめんなさい。...って!そんなこと言ってる場合じゃなくて!一体どうしたの?こんな時間に!」


「とにかく部屋の中に入れてくれない?夏と言っても夜は寒いのよ」


「えっ!ちょっ...橘さん!?」


私の話など一切聞かず、部屋へと入っていく橘さん。
その手には光太君と、大きなキャリーバッグ。


ちょっと待って。


先に部屋へと入った橘さんの後を慌てて追い掛ける。


「ちょっと橘さん、本当にどうしたの?それにその荷物...」


どこからどう見たって家出してきたようにしか見えないんだけど。


「だから光太が寝てるって言ってるじゃない。ベッド借りてもいいかしら?...話はそれからちゃんとするから」


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「ごめん、珈琲しかなくて」


「ありがとう」


出された珈琲をいつものようにお上品に飲む橘さん。

見たところいつもと変わらない様子だけど、絶対なにかあったのよね?
じゃなければ小さな光太君を連れてこんな夜遅くに訪ねてこないわよね。


そうは思っていてもなかなか私からは聞けるはずもなく。
自分で淹れた珈琲をただ飲むだけしか出来なかった。


「...聞かないの?」


「えっ?」


そんな時、先に口を開いたのは橘さんだった。


「だから聞かないの?って。気になってるんでしょ?なんで私がこんな夜遅くに光太を連れて来たのか」


「そっ、それは勿論気になってるけど...」


でもいきなりは聞けないし...。


すると橘さんは持っていたマグカップをテーブルに置き、私を見つめる。


「...悪いんだけど、しばらく光太と二人ここで住まわせてもらえないかしら」


「えっ...?」


「ずっとってわけじゃないから。...住むところが見つかったらちゃんと出ていくから」


住むところ?出ていく?


「ちょっと待って橘さん。話の内容がよく分からないんだけど...。そもそもなんで家出なんか...」


「浮気されたからよ」


えっ...?


「だから出てきたの。あの人がお風呂に入っている間にこっそりと」


そう言ってまた珈琲を飲む橘さん。


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