君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~

それでも、好きなんだ。

「五條さん、最近ずっと残業してないですか?」

「そうか?たまたまじゃね?」

あの日から早一週間が過ぎた。
あの日は、ふらふらのままどうにか自宅に辿り着き、全てを忘れるようにすぐさまベッドに潜り込んだ。
次の日も一歩も外に出ず、布団にくるまったまま過ごした。
何度も菜々子や翔太から電話があって、そして一度だけ和也君から電話があったけど、出ることなんでできなかった。
悪いけど、今はなにも考えたくねぇ。
そんな思いで月曜日からは毎日残業に明け暮れて、必死に頭の中から全てを忘れたくて堪らなかった。

「……あまり無理しないで下さいよ?俺達、体力勝負みたいなものなんですから。休めるときにしっかり休んでおかないと、身体が持ちませんからね?」

「わーってるよっ!」

後輩に言われなくても、そんなことちゃんと知ってるっつーの!!

内心毒づきながらも、仕事に没頭する。
すると後輩ももう諦めたのか、何も言わず自分の作業場へと戻っていった。

「……ちゃんと分かってるよ」

思わず大きな溜息が漏れる。

ちゃんと分かってる。
今のままじゃいけねぇって。
私はただ単に現実から逃げているだけだって……。

でも逃げたくもなるさ。
好きな人からも、親友からも――。
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