君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
さっきまでの変な緊張感はいつの間にかなくなってしまい、今は普通に笑えている。
そんな自分に可笑しくなりながらも、大きく息を吐き、ゆっくりとだけど菜々子に話し始める。

「……あの、さ。菜々子」

「ん?どうしたの?」

菜々子には、ちゃんと話そう。
例え、話している途中に感情が高ぶってしまったとしても――。

聞く姿勢を崩さない菜々子。覚悟を決め、話し始める。

「悪い、私さ……気付いちまったんだ」

「え?」

菜々子は気付いているのだろうか……?和也君の気持ちに。
もし、気付いていたとしたら、菜々子はどんな気持ちで毎日過ごしているのだろうか……?

「その、さ……和也君の好きな人が、菜々子だって」

言ってしまった――。
怖くて菜々子の顔が見られない。

思わずギュッと瞼を閉じてしまった時、菜々子からは意外な言葉が返ってきた。

「……そっ、そんなわけないじゃない!」

「え……?」

やけに明るい声色に、思わず目を開け菜々子を見つめると、私の話なんて全く信じていないといった様子。

「断言出来るわよ。……本当にそれはないから」

何を根拠に菜々子はそう言い切れるのか、私には分からなかった。
だって私はたった数分間しか二人の様子を見ていないのに、気付いたんだぞ?
あんな和也君、見たことなんてなかった。
愛しそうに菜々子を見つめては微笑んでいた和也君の顔が、こんなにも頭から離れないっつーのに、呑気に笑いやがって……。
自然と目の前にいる菜々子に怒りがこみ上げてくる。


< 359 / 368 >

この作品をシェア

pagetop