君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
和也君は諦めたくても、諦められないくらい菜々子のことを想っているっつーのに!!

「……バカ菜々子」

「え……?」

つい漏れてしまった言葉。
だけど小さな声すぎて、菜々子の耳にまで届いていなかった様子。
キョトンとしながらもビールを飲む菜々子に、思わず立ち上がりキッと睨みつける。

「だからバカ菜々子って言ってんだよっ!!この鈍感!!にぶちん女!!」

「ちょっ、ちょっと桜子!?」

急にそんなことを口走り出した私に、慌てる菜々子。
当然の如く、自然と店内中の注目が集まる。
それをひたすら気にする菜々子だけど、私はそんな注目なんて全く気にならなかった。
今はただ、菜々子に分かって欲しくて堪らない。

「なにをどう見たら、そう言えんだよっ!……菜々子には東野さんがいるのかもしれねぇけどさ、ちゃんと気付いてやれよっ!!……ただ好きでいるのって、辛いこと……菜々子だってよく知っているだろ?」

「……桜子」

東野さんに長年片思いしていた菜々子なら、その気持ち……一番分かるはずだろ?
なのにそんなこと言うなよ。

「気付けよ……和也君は菜々子のことを――……」

「はい、ストップ!」

そう言いかけた時、急に背後から口を塞がれてしまった。

「副社長!」

「んっ!?」

菜々子の言葉に、耳を疑った。
だってまさか今、私の口を塞いでいるのが和也君だなんて、信じられるわけねぇだろ?
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