君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「五條さんにプロポーズできる場所ですよ」

「…………は?」

シートベルトをしめようとしていた手が、思わず止まってしまった。

えっと……和也君、今……なんて言った?
予想外すぎる言葉に、硬直してしまった身体。

「それと、五條さんと沢山愛し合える場所にも行きたいのですか、いかがでしょうか?」

「なっ……!」

わざとらしく私の耳元でそんな言葉を囁く和也君に、さっきまで動かなかった身体が動き、思わずドアの方へと後退りしてしまった。

「なっ、なに言って……!!」

まるで金魚のように口をパクパクしかできない私。
そんな私を見て、和也君は満足気に笑う。

そして身を乗り出し、また私の耳元でそっと囁いた。

「……今夜は寝かせねぇから。……覚悟しろよな?桜子」

「……っ!」

初めて聞く敬語以外の言葉と、『桜子』と呼ぶその声――。


本当……。
もうきっと一生この人を嫌いになんて、なれねぇと思う。
でもそれでもいいと思えてしまう。
だって私は、目の前で笑うこの彼が、堪らなく好きなんだから――……。

                   end

< 368 / 368 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:273

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
たとえ愛されていなくても、好きな人と結婚できるなら 幸せになれると思っていた。 だけど、実際に始まった愛のない新婚生活は つらいことばかり。 愛のない政略結婚だと思っていたけれど……? 実は、愛されまくりの妻でした。 ※2025年12月発売のベリーズ文庫 改稿前の試し読みとなります。続きはベリーズ文庫にて お楽しみいただけましたら幸いです。
表紙を見る 表紙を閉じる
騙されて連れて行かれたお見合いの席で出会った人。 彼とは初対面のはずなのに、私に結婚を迫ってくる。 どうしてこんなに優しくしてくれるの? なぜ愛してくれるの? 彼の一途な愛に疑問が増すと同時に、次第に惹かれていく。 だけど彼の想いには、ある秘密があって……? 記憶の扉が開いた時、彼の一途な想いに胸が苦しくなる。 パイロット×呉服屋の令嬢 お見合いから始まるラブストーリー
愛が溢れた御曹司は、再会したママと娘を一生かけて幸せにする
  • 書籍化作品
[原題]きっとキミは、運命の人~記憶を失ったはずなのに、溢れる想いは止められない~

総文字数/116,921

恋愛(純愛)227ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
あなたが私の運命の人だと、信じて疑わなかった。 偶然の出会いからはじまった私たちの関係。 一緒にいられるだけで幸せで、それだけで充分だった。 どんな未来が待っていても、彼となら乗り越えられると思ったのに――。 駆け落ちを約束した彼に振られてから発覚した妊娠。 立ち直って新たな地で新生活をスタートさせたのに、偶然に再会した彼は 私の記憶を失っていた。 「きっと俺は何度記憶を失っても、萌を好きにならずにはいられないんだと思う」 °˖✧運命の彼と再会して始まるシークレットベビー✧˖° ※こちらは改稿前のものです。加筆・修正されたものが2023年5月10日 ベリーズ文庫より発売されます。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop