君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「そうよ。大変なのよ、あの人の秘書は」


二人で来たのは社食と同じ階にある休憩スペース。
ガラス張りのスペースには何人か社員がいたけど、社食よりはマシ。


「大変ですね櫻田さんって。色々と!...当事者の私達から話を聞いて悩んだりしたんじゃないんですか?」


「...えぇ、おかげさまでね」


そりゃもう悩みまくりましたよ。


「損な性格ですね」


損な性格って...!


怒りを沈め、本題を切り出す。


「それはありがとう。..ところでさっきの話だけど本当なの?ストーカー被害に遭っているっていうのは」


さっきからガラス越しの景色を見ている中山さんの表情は見ることが出来ない。


「...藤原部長から話を聞いて、櫻田さんはどう思ったんですか?」


どう思ったって...。そんな話言っちゃっていいの?


「構いませんよ。思ったことを正直に話しちゃって下さい」


私の心情を察したようにそう言うと私の方へと振り返る中山さん。その表情からは彼女の真意は掴めない。


「...藤原さんはあぁ言っていたけど。悪いけど私はストーカー被害に遭っているっていうのは嘘だと思ったわ」


正直に自分の気持ちを伝えたけど、中山さんは表情は変えることなく。


「...やっぱり男と女は違いますね」


「それって...」


高鳴る心臓。


「櫻田さんの言う通りストーカーの話は嘘ですよ?」


悪びた様子もなく、普通にそう話す中山さんに怒りが積もる。


「なんでそんな嘘をついたの!?」


中山さんの嘘のせいで橘さんと藤原さんが今どんな状態になっているのか分かっているの!?


「藤原さんは本気であなたの心配をしているのよ?」


嘘だと信じないで。部下の話をちゃんと信じて。


「...そんなの、好きだからに決まっているじゃないですか」


「えっ?」


「好きだからです!...だって普通に頑張ったって手に入らないなら嘘をつくしかないじゃないですか」

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