君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
言えないだけで誰だって辛い思いしているんだから。


「私も同じよ。中山さんの目に写る私はどうだか分からないけど、完璧なんかじゃないし不器用だし。...同じようにどうしようもなく好きな人がいる。何も変わらないのよ。だけどね、嘘ついたり人を傷つけたりは絶対にしないわ。...中山さんだって私と同じでしょ?」


「...櫻田さん...」


人を好きになる気持ちは分かる。どうしようもなく好きって気持ちは。
だって私も同じだから。でも好きだから何をやってもいいなんてことはない。

きっと中山さんだって気付いているでしょ?


「わー!櫻田さん!これは一体何!?」


「げっ。副社長!」


「藤原部長...」


騒ぎを聞き付けてか副社長や藤原さん、営業部の皆さんもいつの間にかいて。


やっば。周りに人がいたんだった...。


「とりあえずここじゃあれだから、会議室まで来るように」


「...はい」


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「失礼します」


一礼し、人事部長の部屋を出る。


...やってしまった。

溜め息を漏らしながらエレベーターホールへと向かう。


中山さんも庇ってくれたけど、あんなに沢山のギャラリーに見られていたんだもの。明らかに悪いのは手をあげて泣かせてしまった私。


「一週間、か」


一週間の自宅謹慎。プラスボーナスカット。冬のボーナスちょっと期待してたんだけどな。


エレベーターが辿り着き、誰も乗っていないエレベーターへと乗り込む。


「...だけどそのおかげで中山さんには私の気持ち、伝わったかな?」


あんなに庇ってくれたんだもの。私の気持ちは届いてくれたわよね?


目的の階に辿り着き、そのまま更衣室へと向かう。


一週間も休んで副社長は大丈夫かしら。

昨日半日だけであんな調子だったしな。

でも会社が決めたこと。
おとなしく従うしかない。


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