君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「ねぇ、櫻田さんはどう思う?」


「どう思うって...。会長が持ってきたお話なら受けるしかないんではないですか?」


「やっぱりそう思う?」


「はい。...それに意外にお会いしたら、気の合う女性かもしれませんよ?」


会長の言う通り、副社長には早く身を固めてもらった方がいいのかもしれない。


結婚したらこうやって私のことをからかってくることもなくなるかもしれないし。


「冷たいなぁ、櫻田さんは」


そう言うとなぜか副社長は私の背後に回り、距離を縮めてきた。


「えっ...ちょっと副社長!?」


ちっ、近い!


「違うよ」


「えっ...?」


座ったまま顔だけ後ろを向くと、想像以上に副社長の顔が近くて。
慌ててそのまままた前を向いた。


「ちょっと副社長。いい加減にして下さい。万が一こんなところを誰かに見られたりでもしたら...」


「だから違うって言ってるだろ?」


いつもとは声色が違う副社長に、言葉が出ない。

副社長はいまだに離れてくれなくて。

至近距離すぎてほのかに薫る香水の匂い。

時折耳にかかる吐息。


嫌でも副社長は異性で、男性なんだって感じてしまって身体が動かない。


ちょっといつもの悪ふざけにしては、手が込みすぎていない?

いつもとは違う副社長に驚きを隠せない。


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