こんな能力(ちから)なんていらなかった
しかし、自分はもう叱られすらしない。
流にとってもう自分の存在なんてどうでもいいのだろうか——
この時になって漸く優羽は流と自分の間に出来てしまった溝の深さに気がついたのだ。
優羽は腕で顔を覆う。
「……泣くな」
自分から突き放した優羽に泣く資格なんてない。
埋めることも出来ないその深い溝をぼんやりと眺めることしか今の優羽にはできなかった。
***
「平気だって……」
「どこが平気なのよっ……!!」
奈々がバチンとおでこを叩く。
いつもは熱い奈々の手が今日は冷たく感じた。
「私の体温が冷たい時点でかなり危ないんだけど!?」
奈々は怒りながら優羽の体をベッドに押し戻す。
「学校行かなきゃ……」
「こんな熱高いのに行けるわけないじゃん!!」
「でも……」
「でもじゃない!」
奈々の剣幕に押されて渋々ベッドに戻った。
「……昨日の傷が原因ね、絶対」
奈々の呆れた溜息に優羽は眉を垂らす。
「瘴気にやられるなんて、こんなミス優羽がするの初めてじゃない?」
「…………」
劣勢と見て、優羽は布団の中に潜りこむ。