オモイデバナシ
かくして、俺達と三人組の真昼の決闘が始まった。

子供なんだから、穏便に話し合い、なんて賢いやり方が通用する訳がない。

とにかく俺と千秋としては、トモが泣かされたのが我慢ならなかったし。

三人組としても、訳のわからない年下三人が勝手に秘密基地に出入りしているのは許せなかったのだろう。

こっちは年下、しかも一人はもう泣いてしまってるし、もう一人は女の子だし。

実質戦力は俺だけ。

対する相手は、年上の三人の男の子。

力も体格も圧倒的に上。

案の定俺は5分もしないうちに泣かされて、「泣いたら強いんだぞ」なんて状況に陥って、妙な強さを発揮していた。

更にここで、意外な伏兵。

「こうちゃん泣かしたら怒るんだからー!!」

千秋だった。

もちろん力は男の子には敵わないんだけど、とにかく千秋はすばしっこい。

おまけに暴れだしたら手が付けられない。

一度機嫌を損ねたら、まるで火がついたように叩く、つねる、噛み付く。

「いててててて!!」

「なんだこの女!!」

気がつけば、千秋が殆どやっつけたような形で、三人組はたまらず退散していた。

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