オモイデバナシ
この頃には、千秋も中学から高校へ。

更に会う機会は少なくなっていた。

相変わらず千秋んとこのお母さんが定期的に遊びに来るので、千秋の近況は耳に入ってくる。

千秋は高校卒業したら、看護師になりたいらしい。

だから、看護の専門学校に行くんだって言ってた。

あの千秋が、看護師ねぇ…。

お転婆だから、患者さんにお説教とかしそうだなぁ。

白衣の天使より、ベテラン婦長さんみたいな役回りが似合いそうだ。

でも、根は優しいし、世話好きだから向いてるかもな。

トモの面倒もよく見てたし。

…そうそう、トモと言えば。

あいつ生意気にバイク乗り回したりしてるらしい。

すっかりヤンチャになって、千秋んとこのお父さんとお母さんも手を焼いてるんだって言ってた。

ふーん、あのトモがねぇ…。

ヒョロヒョロで、チビで、すぐ泣く気弱なトモが、バイク乗り回してヤンチャだなんて想像できない。

喧嘩とかも弱かったしなー。

でも、男らしくなってるのかな。

お兄ちゃんの立場としては、何だか嬉しい気もした。

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