オモイデバナシ
耳に入ってくる最近の千秋たち。

元気そうで何よりだ。

でも、やっぱり会いに行ったりする時間はなかなかとれなかった。

俺が高校時代はそれなりに多忙だったように、千秋も忙しいだろう。

進路選択を控えたこの時期に、昔みたいに遊びに行ってる訳にもいかないだろうし。

…しみじみ思う。

もうみんな、それぞれの道を歩き始める時期なのかもな。

子供の頃はいつも一緒が当たり前だったけど、大人になるとなかなかそうはいかない。

みんなそれぞれに夢があって、歩きたい道があって、人生がある。

俺がリーダーで、千秋とトモが子分で。

そんな冒険ごっこも、そろそろ終わりなのかもしれない。

ここからは自分の足で、自分の判断で、冒険を続けなきゃいけない。

何だか寂しい気もするけど、仕方ないと思った。

…俺は割り切り始めていたのかもしれない。

やっぱり千秋は幼馴染みなんだ。

子供の頃によく感じる、身近な女の子への淡い恋心。

千秋に対して抱いていた感情も、きっとそれだ。

好きだったのには違いない。

でも、それは人生を一緒に歩くとか、そんな大それたものじゃなくて。

可愛い妹や年下の後輩に抱く、守ってやりたいっていう感覚に近かったのかもしれない。

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