オモイデバナシ
胸の中に、暗いものが広がっていく。

ああ、これは知っている。

絶望感、て奴だ。

お前の望みは今絶たれましたよって、親切に分かりやすく教えてくれる、お節介な感覚。

…そんな事、言われなくてもわかってらぁっ!

「へ、へぇっ、千秋彼氏いるんだー」

つとめて冷静さを装う。

俺が千秋を好きだった事は、絶対に気づかれちゃならない。

俺は千秋の幼馴染み。

千秋とトモのお兄ちゃん。

二人の子分のリーダーなんだ。

ほら、決まり事を思い出せ。

リーダーは私情を挟んではならない、だろ?

それに…俺がそんな感情持っていたって知ったら、千秋はきっと気にする。

俺に気兼ねするようになる。

そんなのは嫌だった。

今まで通り、お転婆で元気のいい千秋のまま。

それが、今の俺に残された最後の望み。

幼馴染みの、大好きな千秋のままでいてほしかった。

だから、死んでも俺の気持ちだけは悟られちゃいけない。

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