オモイデバナシ
トモは気後れする事無く、俺を睨み返してきた。

…その睨み合いに、負けたのは俺の方だった。

…トモは俺の手を振りほどく。

「こうちゃん、姉ちゃんはな、待ってるんだよ」

「…え?」

トモの言葉に、俺は顔を上げた。

「確かに姉ちゃんは今彼氏がいるけど…そんなもん姉ちゃんに作らせたのは、こうちゃんのせいだぞ?」

「俺の?」

「そうだよ。こうちゃんがいつまでもハッキリしてやらないから、姉ちゃんが迷うんじゃないか。こうちゃんに想ってもらえてないんじゃないかって、迷うんじゃないか」

トモは逆に、俺の服の襟をつかんだ。

「姉ちゃん、彼氏に大阪に誘われてるんだぞ」

「大阪?」

俺の言葉にトモは頷いた。

「彼氏が転勤で大阪に行くらしい。それに、ついて来てほしいって言われてるんだ。どうすんだよ?こうちゃんが止めなきゃ、姉ちゃん大阪に行っちゃうぞ?会えなくなるぞ?」

責めているにもかかわらず、追い詰められているような表情をしているのはトモの方だった。

「なあ!」

トモは俺の襟をつかんだまま、揺さぶる。

「姉ちゃんの隣に立ってるのは、こうちゃん以外は認めないぞ!!」


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