逆ハーレムに巻き込まれました。




私は寝巻き姿なのも構わずに、なんとなく覚えている通り食堂の方へダッシュした。


すると、そこにいたのは。



「やぁ、リタ。もう体は良くなったのかい?」


「ちょっと、病み上がりなんだから走っちゃダメでしょう!?ちゃんと寝てなきゃ」


「ねーちゃ!!」



無駄に広く豪華な食卓に座る、3人の姿。


この世界での父であるフィリップ・エルルージュ伯爵と、その後妻であり私の義理の母であるメアリ。


そして、



「……シェイド」



水色の瞳を輝かせ、こちらへと飛びついてくる義理の弟――否、攻略対象であるシェイド・エルルージュだった。



「ねーちゃ、ぼく、ねーちゃがいなくなったらって……!」



涙ぐみながら、私にヒシッと抱きつくシェイド。その身体はゲーム画面で見たような二次元な物でもないし、柔らかくて温かい。


私はその背中をあやすように優しく叩きながら、この世界が夢ではなく現実の物である事を確信したのだった。



***




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