もしも私が―。

パニックになった頭で、なぜ自分がそのことを夢に見ていたのか、嫌々ながら考えた。
 そして、ある一つの考えが浮かび、私はそれに囚われた。

(ありえない ありえない ありえない ありえない! 忘れようって、決めたのに!)

 泣きたくなるような、その拒絶をやめた時受け入れるべき事実を、受け入れるしかなかった。
 もし、偶然じゃないとしたら……あいつしかいない……。
 

 ――私の前で、化物になった、あのお兄さんだ!
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