幼い頃の小さな約束
うっかりしていると、吸い込まれそうだ。
深くて綺麗な彼の瞳は、あたしを見ていない。
・・・そんな気がした。
「ごめんなさい。俺、忙しいからそういうの無理なんだ」
本気で申し訳なさそうな、その顔は、女の子のツボを押さえただろう。
捨てられた、子犬のような瞳だった。
周りの女の子たちは、口々に残念、とか言いながら、メニューを開く。
それでも、たくさんのお客さんが来てくれたことが、とても嬉しいみたいだ。
執事の顔に戻ったけど、少しだけさっきより笑みが増している。