幼い頃の小さな約束




教室が静まりかえる。みんなが、驚いた顔でゆきを見つめる。

何より、ゆき自身が一番驚いているように見えた。




あたしは声を出すことに、苦労した。






「・・・なんで、あたしには関係ないの?友達なんだから、知りたいと思うのは当たり前じゃん」



「あ・・・、ぅあ・・・。ごめんね、理沙。なんだか疲れてるみたい・・・」




ゆきがそう言うと、周りのみんなは安心したように、溜め息をついた。

疲れてる・・・?怪しいなあ・・・。




それでも、あたしは何も言わなかった。





ゆきは「じゃあね」と呟き、教室を出て行く。

まだ、授業があるのに。






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