代償
~上時side~


「………お前ら、帰れ」
キャーラを、ユートが背負う。
集まる前橋の組員。
もう、これしか言えない。
「上時総長も、早く───」

「行かない」
驚愕を顔に浮かべ、ユートは声をなくす。
まさか、言うとは思わないだろう。
………だろうな。
「俺は、いい。お前らだけ帰れ」
「上城!?お前………」
こいつらの前では。
虚勢を張って。
もう、目は見えてない。
言葉を話すのも。

すべて億劫。
傷口から、血と生気が流れる。
───死ぬな、これ。
「───ここを、死場所と決めたのか」
「………流石、マスターだ。正鵠を射てる」

各々に何かを言う。
雑音にしか、聞こえない。
「───マスター」
「………上城、お前、何がしたい」
「………皆連れて、帰れ」
「お前は」
「………帰る必要ない」

帰る場合なんか。
ないさ。
帰れば。
どうせまた、ホストなんか続けるはめだ。
なら。
いっそ、ここで死にたい。
───頼むから。



「───身勝手ですまない………」
こんな奴が、総長にいる資格、ない。
俺の次はキャーラだ。
………俺より、いい総長になる。
どうなるかは。
俺にも分からない。

「………迎えに来る」
───は?
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